医療機器治験の実施状況アンケート結果報告
2024年 9月 4日
本調査の背景・目的
かつて日本の治験環境については、「コストが高い、被験者組み入れが遅い、データの質が悪い」と評されたことがあり、種々の改善に向けた取り組みが行われてきた。その甲斐もあり、今や海外と比較しても、被験者登録のスピード、データ入力や逸脱等のクオリティにおいては大きな違いはなくなってきたが、依然、コスト面での違いが大きいことが指摘されている。
医療機器の開発には時間を要し、長期的な開発投資が必要とされており、革新的な医療機器の場合、治験だけでも20~30億円を超えるとも言われている。開発費用を回収できるかが投資基準のひとつだが、医療機器の価格が下がり切っているため、回収見込みが乏しくなると新技術開発に投資できない悪循環が生まれている。
2012年には、日本医療機器産業連合会GCP委員会治験コスト調査ワーキンググループ及びHarmonization By Doing Working Group 3により、日本の医療機器治験のコスト等の実態調査が行われた。その結果、国内の医療機器治験のコストは平均的には医薬品と大きく異ならないが、様々な項目で医療機器治験の多様性が認められた。一方、海外の医療機器治験に比べてコストが高いか否かを明らかにするためには調査に工夫が必要であることが示唆された。
その調査から10年を経過していることもあり、日本医療機器産業連合会臨床評価委員会治験効率化ワーキンググループでは、最近の医療機器治験における費用、さらには費用に影響しうる業務についての実態を把握するために調査を実施することとした。また、海外臨床試験、国際共同臨床試験における海外の情報も併せて収集することで、国内治験と比較することとした。
医療機器治験におけるコスト削減、効率化への施策を検討されている企業におかれては、参考にされたい。
謝辞
日々の多忙な業務の中、本調査にご回答いただいた企業のみなさまに心より感謝申し上げます。
(一社)日本医療機器産業連合会
臨床評価委員会治験効率化WG